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kukkanen’s diary

障害年金で暮らす片づけられない女の日記

「ディスレクシアは失読症なの?識字障害なの?」 - さまざまな学習障害の和訳を整理してみました

発達障害
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はじめに

先日、俳優の堺雅人さんの告白をきっかけに左右盲や算数障害などの学習障害に興味を持ちました。

計算が全然できない」ことも告白。足し算、引き算ができず、かつてドーナツ屋のバイトでレジを任されていたときは多めにおつりを渡していたようで、〆のときに1,000円単位で数字が異なっていたこともあったそうだ。

堺雅人「おしゃれイズム」で弱点を告白 右と左がわからない - ライブドアニュース

算数障害に関して、私がまとめた記事はこちらです。

www.kukkanen.tokyo

さらに、2桁の暗算ができるといわれているインド国民の中にも算数障害の人が数多く(10〜15%)いるということがわかりました。

www.kukkanen.tokyo

AlexiaとDyslexiaの違い

id:zundamoon07先生が、読み書きに関連する疾患名の訳し方を接頭辞で説明しています。

Alexia(失読症)、Aphasia(失語症)に使用されているA-は、否定の意味を示す接頭語である。Apraxia(失行症)、Agnosia(失認症)も全く同様で、これら高次脳機能障害に使用されている用語は、学問的にも行政的にもほぼ確立しており、「失~症」と表現される。

一方、Dyslexia(読字障害)やDysmetria(測定障害)で使われているDys-は、同じ接頭語でも困難であることを示しています。このため、日本語の訳語でも、「~障害」と表記されることが多い。

NHKスペシャル、「読字障害」放映 - リハ医の独白

上記の内容を表にまとめると、以下のようになります。

×: 後天的な脳障害 △: 苦手
名称読む書く聞く話す
Alexia(失読症) ×      
Dyslexia(読字障害)    
Aphasia(失語症) ×  × × ×

学習障害を扱っている2つの診断基準

DSM-5は精神科の診断基準のガイドラインで、日本語による解説本の出版が相次いでいます。

参考: 『語呂で覚える!DSM‐5』(Amazon)

日本で、障害年金や障害者手帳の診断名レセプトに使われているのはICD-10です。

最新VerICD-10DSM-5
正式名称 International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders
和訳 疾病及び関連保健問題の国際統計分類 精神障害の診断と統計マニュアル
発行 世界保健機関(WHO) 米国精神医学会
目的 全ての疾病の統計 精神医学の臨床診断

DSM-5における学習障害

《発達障害サポートルーム》というサイトで、DSM-5の仮訳とその他の精神障害を含めた全体像を図解しています。

5 Specific Learning Disorder 特異的学習障害
5.1 With impairment in reading 読み
5.2 With impairment in written expression 書き
5.3 With impairment in mathematics 計算

その後、「特異的」は日本精神神経学会により「限局性」と訳されました。

Specific Learning Disorder 限局性学習症/限局性学習障害

DSM-5病名・用語翻訳ガイドライン|公益社団法人 日本精神神経学会

DSM-5全体像

http://hattatsusyougai.jp/wp-content/uploads/2013/11/hot-news.png

最新ニュース Vol.1 | 発達障害サポートルーム

ICD-10における学習や言語の障害

厚生労働省によると、ICDの疾病コードは下の例のように構成されており、F81とR48に学習障害や言語障害に関連する診断名があります。

f:id:kukkanen:20150421112124p:plain

「ICDのABC」厚生労働省大臣官房統計情報部(PDF)
疾病分類の階層構造(ICD-10)
F 精神及び行動の障害
F80-F89 心理的発達の障害
F81 学習能力の特異的発達障害
R 症状、徴候及び異常臨床所見・異常検査所見で他に分類されないもの
R47-R49 言語及び音声に関する症状及び徴候
R48 読字障害及びその他の表象機能の障害、他に分類されないもの

F81: 学習能力の特異的発達障害

ICD-10のF81にある主な学習障害を下表にまとめました。

和訳は、《標準病名マスター作業班》にある本邦での診断名です。

ID英語原文和訳
F81.0 Specific reading disorder 特異的読字障害
  Developmental dyslexia 発達性読字障害
  Specific reading retardation 特異的読字障害
F81.1 Specific spelling disorder 特異的書字障害
F81.2 Specific disorder of arithmetical skills 算数能力の特異的障害
  Developmental: Acalculia 計算障害
  Developmental: Arithmetical disorder 発達性計算障害
  Developmental: Gerstmann syndrome ゲルストマン症候群

原文: F81[Specific developmental disorders of scholastic skills] ICD-10 Version:2015

和訳: F81[学習能力の特異的発達障害] ICD10分類

"Developmental dyslexia"は、「俳優のトム・クルーズさんがディスレクシアであることを公言した」のように使われている「発達性ディスレクシア」です。

これらの言葉の定義は以下の解説が参考になります。

欧米では 1890 年代から医学領域で症例の報告があり、読字能力の獲得後に生じた後天性脳障害に伴う読字困難と区別するため「発達性ディスレクシア」とよばれている。

また、発達期の読字障害は必ず書字の困難も伴うことから「発達性読み書き障害」と称されることもある(すなわち「特異的読字障害」≒「発達性読み書き障害」≒「発達性ディスレクシア」である)。

「学習障害」鳥取大学地域学部准教授関あゆみ - Ⅰ.母子保健から見た発達障害 - 母子保健情報第63号(2011年5月)PDF

R48: 読字障害及びその他の表象機能の障害

《標準病名マスター作業班》にある日本語版のICD-10のR48にカテゴライズされている病名の一般的な英訳を探してみました。

なお、ICD-10の原本ではR48の定義として、F81に分類される発達性の学習障害は除外されるものとしています。

Excl.: specific developmental disorders of scholastic skills (F81.-)

R48[Dyslexia and other symbolic dysfunctions, not elsewhere classified] ICD-10 Version:2015
ID病名英訳症状
R48.0 読字障害及び失読(症) Dyslexia and alexia  
  読字障害 Dyslexia  
  失読症 Alexia  
R48.1 失認(症) Agnosia  感覚器に異常がないのに対象を認知できない(コラム)
  空間識障害 Spinal disorientation(辞典)  
  言語失認 Logagnosis(辞典)  
  左右識別不能症(辞典) Left-right disorientation  左右がわからない
  視覚失認(論文PDF) Visual Agnosia  目の前のものが見えているのに何かわからない
  身体失認(論文PDF) Asomatognosia  自分の身体を認識できない(半身だけの場合もある)
  相貌失認(論文PDF) Prosopagnosia  人の顔を覚えられない(ブログ)
  聴覚失認(論文PDF) Auditory Agnosia  聴覚障害がないのに音を認識できない
  半側空間失認(論文PDF) Hemispatial Agnosia 食事時に皿の半分を残す、歩行時に左側がぶつかるなど(コラム)
R48.2 失行(症)(論文要旨) Apraxia  運動機能に問題がないのに身体を動かすことができない(コラム)
R48.8 その他及び詳細不明の表象機能の障害 Other and  unspecified symbolic dysfunctions  
  失算症(論文PDF) Acalculia  後天的な脳障害により計算できない
  失書(論文PDF) Agraphia  文字が書けない
  失象徴 Asymbolia(和英辞典) 象徴的な言葉や身振りを理解できない(大辞泉)
  失文法(論文PDF) Agrammatism 個々の単語は話せても、それを正しく並べて意味のある文にできない(東大発表)

病名: F48[読字障害及びその他の表象機能の障害、他に分類されないもの害] ICD10分類

※ 国によって診断基準や障害の概念が異なるため、定義が完全一致しないかもしれません。念のため、関連ページにリンクを貼りましたが、誤りがあればコメント欄等でお知らせください。