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kukkanen’s diary

障害年金で暮らす片づけられない女の日記

知的障害は障害者枠や作業所に通った方が有利なの?厚生労働省が公開した障害年金審査認定医の声より

障害年金
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はじめに

厚生労働省が先月公開した資料に、知的障害年金等級判定事例と審査を担当する認定医の意見があります。

うつ病などを含む「精神障害」に関する事例は、先ほど更新した記事で取り上げています。

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最近増加傾向にある「発達障害」での申請を含まない、いわゆるIQが低い方の知的障害に関する内容のみ、この記事で紹介します。

事例で示される日常生活能力の「程度」と「判定」は診断書裏面にある内容です。詳しくは以下の記事を参考にしてください。

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生活能力が1級圏内でも、療育手帳B判定で2級が妥当と判断された事例 

▼表A:2級該当(1級該当との境界)
 日常生活能力の就労
事例番号 程度 判定
25 4 3.7  
26 4 3.7  

《2級該当事例について》

日常生活能力の程度が(4)、日常生活能力の判定はやや重度だが、詳細な生育歴や日常生活状況、IQ40台前半で療育手帳Bであることを参考にすれば常時の援助とまでは言えず、2級と考える。

「日常生活能力の程度」は(5)が一番重く、数字が小さくなるほど障害の程度が軽いと評価されています。

厚生労働省が定義する療育手帳の判定基準は、AとBがあります。

判定症状状態
A 重度 常時介護を要する
B その他 上記以外

出典:「療育手帳制度の実施について」(参考資料3)日本年金機構の障害年金に係る実施体制(PDF)

療育手帳は、自治体により審査基準が異なり、知的障害を伴わない発達障害を対象とするかどうかの対応も異なることが問題視されています。

自治体東京都札幌市
名称 愛の手帳 療育手帳
IQ 〜75(参考URL) アスペルガー対象を明示(参考PDF)
区分 1〜4度 A、B、Bバー

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不支給の可能性もあった事例が、雇用形態「障害者」で2級と判断されたケース

▼表B:2級該当(2級非該当との境界)
 日常生活能力の就労
事例番号 程度 判定
27 2 2.4  
28 3 2.8  
29 3 2.3  
30 4 3.3  
31 3 2.3  

《2級該当事例について》

高校の特別支援学級を卒業後にパート勤務して現在に至るIQは50台後半、日常生活能力程度は(2)で日常生活能力の判定はやや軽度だが、障害者雇用であることを踏まえ、2級と考える。

表Aで取り上げた日常生活能力程度が(4)で1級該当もありうる事例は2件共に、就労に関する記載が「有」なっていました。 これらが2級に下げられた要因として、就労状況があったかどうかについての言及はありませんでした。

表Bの事例番号27は、逆に就労形態が明らかになったことで、本来は不支給だったかもしれない生活能力の「程度」と「判定」の評価が覆された形となりました。

ここでいう「障害者雇用」は、おそらく「一般就労」と呼ばれるもので、短時間の雇用契約を結び、事業主が守らなければいけない法定雇用率を充足する障害者として働いているということです。

その他、知的障害者の受け入れ先として以下の就労形態があります。

用語俗称雇用契約収入
一般就労 障害者枠 一般企業などと結ぶ 最低賃金保障
就労継続支援A型 A型作業所 サービス事業者と結ぶ 最低賃金保障
就労継続支援B型 B型作業所 雇用関係無し わずかな工賃

就労実績から不支給となった事例

▼表C:2級非該当(2級該当との境界)
 日常生活能力の就労
事例番号 程度 判定
32 3 2.7  
33 3 2.3  
34 3 2.6  
35 2 2.3  

《2級非該当事例について》

日常生活能力からは2級かどうか判断が難しいが、IQ70台前半と高く、小学校時代にあったADHD傾向も高学年には改善しており、就労に関しても片道2時間以上かけて清掃業務に就いていることから、非該当と考える。

上述されている清掃の仕事が、どのような形態なのかといった詳細が公開されていないので、なんともいえませんが、通勤時間やIQなどから総合的に判断して、不支給となっています。

働いていても、1級が認められた事例

下表の事例番号22は就労が「有」になっていますが、 1級相当と評価されています。

▼1級該当(2級該当との境界)
 日常生活能力の就労
事例番号 程度 判定
21 4 3.4  
22 5 3.7  
23 5 3.5  
24 4 3.9  

精神障害1級では、ほぼ寝たきりのような統合失調症などを想定しているので、議題に上がった事例でも就労の記載が「有」の人はいませんでした。

参考: 精神障害年金は働いたらNG?入院は有利?厚生労働省が公開した審査認定医の声より - kukkanen’s diary

ですが、知的障害のみで身体は健康だったり、温和な性格だったりすると、障害者として受け入れてくれる事業主も多いようです。

私も実際に企業の障害者枠や作業所などをいくつかあたってみた印象だと、基本的には知的障害や身体障害を想定した就労先が多く、対人面での扱いが難しい精神疾患や発達障害の受け入れ先が少ないのが実情なのではないでしょうか。

2級非該当事例として、取り上げたIQ70台前半の方がどのような地域にお住まいなのかがわかりませんが、都会なら徒歩圏でも様々な障害者向けの就労先があります。

過疎地であれば、その選択肢は当然狭まることでしょう。

そう考えると、単純に就労形態を「障害者向け」とそうではないものに分けて、障害年金の審査基準とするのは、それこそ不公平というものではないでしょうか。

発達障害との関係

「知的障害の等級判定の観点」の最後の項目は以下のようにつづられています。

《その他》

  • 知的障害と発達障害の両方ある場合は、療育手帳Bであっても、トータルで見るともう少し重い方がいると思う。
  • 中高年の知的障害で請求するケースについて、生来性と判断できないものは知的障害として認められないのではないか。

この検討会では、 知的障害と発達障害の事例を分けて議論されています。

ただし、都道府県ごとに療育手帳の対象がゆれていることからわかるように、両者の概念は重なり、IQという指標だけで見た場合でも連続した障害と捉えられます。