コンサータとは
ちょっと前にストラテラに関する記事を書きましたが、コンサータもADHD(注意欠陥多動性障害)の治療薬です。
一般の人がググってたどりつくことができるコンサータに関する日本語の有益な情報はまだあまりなく、主成分であるメチルフェニデートの危険性についてやや煽り気味の記事が検索上位に散見されます。
販売元のヤンセンファーマが薬剤師さん向けに公開している資料(PDF)は少し古く、子供のADHD患者を対象とした説明しか載っていませんが、こちらが一番参考になるかもしれません。
▼中枢神経刺激剤「コンサータ」適正使用のための手引
http://www.janssen.co.jp/system/files/proper-use-introduction/20110127243.pdf
これを引用しながら、実際に私が服用して気がついたことなど書いてみます。
自立支援を門前薬局に変えました
まず、コンサータは調剤薬局ならどこでも買えるというわけではなく、登録された薬局でのみ扱われています。下の適正流通図(2ページ)にあるように処方できる医師も卸業者もすべて登録制なのです。
私はADHD特性の不注意から調剤薬局に寄るのを忘れて帰宅することもあったので、以前は自宅近くの薬局を自立支援医療受給者証*1に記入していました。ところが、その薬局ではコンサータの在庫がなく、前述した適正流通制度に登録したり、卸と契約したりするのに数週間かかることがわかり、通院先の病院の近所にあるいわゆる"門前薬局"と呼ばれるところに変更することになりました。
この他、資料の28ページ以降にも「服用しないコンサータが患者の手元に残った場合は医療機関に返却するよう指導」することや、廃棄の記録や紛失の届け出に関するルールが記載されており、他の処方薬がどういう扱いなのかは知りませんが、なにやら厳格に管理されているということがわかります。
ADHDのどんな症状に効くのか?
コンサータの特長として、5ページ目にこんな記述があります。
AD/HDの中核症状である不注意、多動性・衝動性いずれに対しても改善作用を示します。
私は上記の3つの症状にコンサータ服用の効果があったかどうかは正直いってわかりません。というのも、仕事もせず、人との接触もさけ、メンタルへの負荷を最大限に減らす生活をしているので、評価のしようがないのです。
ただ一つ実感できることは身体が楽になったことです。その反面、依然として頭が思うように回転せず、良いアイディアを生み出すこともないという現実から気持ちが苦しいです。
ちなみに、コンサータを飲むようになってできるようになったことは、毎日シャワーを浴びるとか、歯を磨くことなどです。ふつうの人にとっては当たり前の日常生活でも、私はそれをこなすのがとても辛かった、できなかった時期が続いていたので嬉しいです。
疲労回復効果の実感はコーヒーと同程度
では、どのくらい身体が楽になったのか、もう少し具体的な話をしましょう。
私にとってのコンサータを身近な飲み物で例えると、コーヒーと同じくらいの覚醒効果があります。起き抜けにコーヒーを飲むと頭がすっきりしたり、仕事で疲れている時にコーヒー休憩をとると少しまた元気が出たりしますが、コンサータもそんな感じです。
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他に似ているものとしては、ユンケルやアリナミンのような疲労回復を目的とした栄養ドリンクや、仕事仲間に「アスリートが集中力を高めるために摂っているサプリで、これを飲めば徹夜できる*2」と薦められたUP!などがあります。
いずれにしても、市販のドリンクやサプリはカフェインを多く含んでいるので、コーヒーで疲れがとれるのと同じ原理でしょう。
コンサータはどのくらいの時間効くのか?
資料の37ページにあるFAQにはこのように記述されています。
Q 服用後どのくらいで効果があらわれますか?
A 投与1~2時間後にあらわれます。
私も効いてきたかなと感じるのはだいたい2時間後です。
ただし、私にとってのコンサータは前述した通り、コーヒーと同程度の刺激物なので毎日必ず同じ効果を実感できるわけではありません。
「コーヒーを飲んで美味しいと感じる日もあれば、そうでない日もある」
それと同じように、コンサータを飲んで疲れがとれる日もあれば、一日中何もしたくない日もあるということです。
そして、服用後およそ12時間効果が持続するそうなのですが、これはよくわかりません。主治医に「薬が切れた時の感覚はありますか?」とたずねられましたが、私にはそう感じる時間がありません。
通常、午前8時くらいまでにコンサータを飲むので、12時間後だと夜の20時くらいに薬の効果が切れるはずですが、むしろ22時くらいに意欲がわいてくることがあります。
コンサータの副作用は?
コンサータを初めて処方された時に薬剤師さんから聞いた説明が2つあります。
- 夜、眠れなくなるかもしれないので、飲み忘れても午後はコンサータを飲まないこと
- 日中は食欲不振で、逆に真夜中は過食傾向になること
私はもともと不眠の症状があり、1. は守っています。それと、同じADHDの治療薬であるストラテラよりはコンサータの方が効果を実感できるので、飲み忘れはありません。
2. はまさにその通りで、お腹がすいてなかなか寝付けないといった悩みもあります。
PDFで公開されている薬剤師さん向けのこの資料は、子供を対象としたものだからなのか、休薬日の設定(17ページ)や薬物治療からの離脱(18ページ)といった項目もあり、大人のADHD当事者でもやはり長期服用にはなんらかのリスクがあるのかなと思ったりしました。
▼中枢神経刺激剤「コンサータ」適正使用のための手引
http://www.janssen.co.jp/system/files/proper-use-introduction/20110127243.pdf
コンサータの依存性は?
コンサータ処方に際して、主治医から繰り返し聞かされた注意事項として依存性の高さがあります。
数年前に乱用が問題視されて、うつ病などへの適用が取り消されたリタリンもコンサータと同じ成分であるメチルフェニデートで構成されています。
ADHD当事者は、ふつうの人ならがまんできるようなことでも自己抑制能力が足らず、ギャンブル依存や薬物依存に陥りがちなので、コンサータという依存性の高い治療薬が両刃の剣となってしまうこともあるらしいです。
今のところ、私にとってのコンサータはコーヒーと同程度の依存度なので、処方が中止となればちょっとがっかりするかもしれませんが、これがなければ生きていけないというほど絶望はしないと思います(たぶん)。
*1:精神科の通院費用を公的負担してもらえる制度。参考:自立支援医療(精神通院医療)について|経済的な支援|治療や生活に役立つ情報|みんなのメンタルヘルス総合サイト
*2:ソースが怪しいので本当の話かどうかは知りませんので念のため