現役医師20人が飲まないと答えたクスリを特集する記事
たまたま、目に止まったこの記事。『週刊現代』2015年3月21日号に掲載されているそうです。
広く使われているクスリでも、じつは重篤な副作用をもたらすことがある。医者は、自らが服用したり患者に投与したりした経験から、「本当のクスリの怖さ」を知っている。都内の大学病院に勤務する循環器内科医はこう本音を明かす。
「患者さんには普通に処方していても、自分では絶対に飲みたくない、家族には飲ませたくないというクスリはけっこうあります」
医者が絶対に飲まないクスリ一覧は画像ファイルで一般名
さっそく、記事を読み進めたのですが肝心なクスリ一覧が画像ファイルで、先発品の商品名ではなく一般名(いわゆる「ジェネリック」。後発品でも通用する処方名)なんですね。
製薬会社への遠慮かしら?
というわけで、このリストから精神科に関係するものだけ抜き出して、よく知られている商品名で紹介します。
商品名と一緒に、製薬会社が公開している添付文書から、リストで指摘されている副作用に関連するキーワードがある箇所を抜粋します。ただし、副作用の内容やパーセンテージ等をどう評価するかについては、医師または薬剤師に確認してください。
医者が飲まない「うつ病」のクスリ
一般名:パロキセチン、フルボキサミンなど(SSRI)
「パロキセチンは副作用が強く、体重の増加や性機能障害などが多く認められるので自分では使いたくない」(内科医・40代)。
「とくに、頭痛と吐き気を訴える患者が多い」(クリニック院長・40代)。
『週刊現代』2015年3月21日号
商品名:パキシル(一般名:パロキセチン - Wikipedia)
その他の副作用:1%未満:体重増加
その他の副作用:1%以上:性機能異常(射精遅延、勃起障害等 )
重要な基本的注意:投与中止(特に突然の中止)又は減量により、めまい、知覚障害(錯感覚、電気ショック様感覚、耳鳴等)、睡眠障害(悪夢を含む)、不安、焦燥、興奮、意識障害、嘔気、振戦、錯乱、発汗、頭痛、下痢等があらわれることがある。副作用:パキシル錠(速放錠):頭痛133例(9.3%)
その他の副作用:1%以上:頭痛
その他の副作用:頻度不明:嘔吐
商品名:ルボックス、デプロメール(一般名:フルボキサミン - Wikipedia)
副作用:再審査終了時:うつ病・うつ状態,強迫性障害:食欲不振61件(2.1%)
重大な副作用:抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH):低ナトリウム血症,低浸透圧血症,尿中ナトリウム増加,高張尿,意識障害等を伴う抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(頻度不明)があらわれることがあるので,食欲不振,頭痛,嘔気,嘔吐,全身倦怠感等があらわれた場合には電解質の測定を行い,異常が認められた場合には,投与を中止し,水分摂取の制限等の適切な処置を行うこと.
その他の副作用:0.1~ 5 %未満:食欲不振、性欲障害、勃起障害・射精障害等の性機能異常、頭痛
その他の副作用:0.1%未満:体重増加
小児等への投与:海外では強迫性障害の小児にSSRIを投与し,食欲低下と体重減少・増加が発現したとの報告があるので,小児に長期間本剤を服用させる場合には,身長,体重の観察を行うこと
重要な基本的注意:投与量の急激な減少ないし投与の中止により,頭痛,嘔気,めまい,不安感,不眠,集中力低下等があらわれることが報告されているので,投与を中止する場合には徐々に減量するなど慎重に行うこと
添付文書:ルボックス錠25、50、75(PDF)
添付文書:デプロメール錠25、50、75(PDF)
一般名:ミルタザピン、ミルナシプラン
「欧米での試験で、偽薬のほうが効果があったという報告も出た。うつ病が改善するという根拠はほとんどない」(内科医・岡田正彦氏)。
「食欲増加による体重増、日中の眠気が強く出る」(精神科医・40代)
商品名:レメロン、リフレックス(一般名:ミルタザピン - Wikipedia)
その他の副作用:1〜5%未満:食欲亢進、1%未満:食欲不振
重要な基本的注意:眠気、めまい等があらわれることがあるので、本剤投与中の患者には、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること
添付文書:レメロン錠15mg(PDF)
添付文書:リフレックス錠15mg(PDF)
商品名:トレドミン(一般名:ミルナシプラン - Wikipedia)
副作用:承認時までの調査の総症例467例中:眠気19件(4.1%)、使用成績調査及び特別調査の総症例3,771例中:眠気78例(2.1%)
その他の副作用:0.1〜5%未満:眠気、食欲不振、食欲亢進
重要な基本的注意:眠気、めまい等が起こることがあるので、本剤投与中の患者には、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させ ないよう注意すること
一般名:オランザピン
糖尿病を患う人が飲むと、血糖値が500以上に上がることがあり、命の危険も。併発している患者には処方されなくなってきたが、知らない医者が出したときが危険」(糖尿病専門医・辛浩基医師:東京都大田区西蒲田の内科,糖尿病内科,眼科、しんクリニック,【医師のご紹介】)
『週刊現代』2015年3月21日号
商品名:ジプレキサ(一般名:オランザピン - Wikipedia)
安全性(使用上の注意等)に関する項目: 著しい血糖値の上昇から、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡等の重大な副作用が発現し、死亡に至る場合があるので、本剤投与中は、血糖値の測定等の観察を十分に行うこと。
禁忌内容とその理由(原則禁忌を含む):糖尿病の患者、糖尿病の既往歴のある患者
添付文書:ジプレキサ錠2.5mg、5mg、10mg、ジプレキサ細粒1%、ジプレキサザイディス錠5mg、10mg(PDF)
一般名:エスシタロプラム
「心電図に異変が生じることがあり、死亡リスクの高い致死性不整脈を起こす危険性も」(精神科医・50代)。
「投与した患者に重篤な肝障害が起こったケースがあったので、あまり使用したくない」(常喜医師:常喜医院 | 内科・皮膚科・小児科)
『週刊現代』2015年3月21日号
商品名:レクサプロ(一般名:エスシタロプラム - Wikipedia)
禁忌(次の患者には投与しないこと):QT延長のある患者(先天性QT延長症候群等)[心室 頻拍(torsades de pointesを含む)、心電図QT間隔の過度な延長を起こすことがある。]
慎重投与(次の患者には慎重に投与すること):(1) 著明な徐脈等の不整脈又はその既往歴のある患者、QT延長を起こすことが知られている薬剤を投与中の患者、うっ血性心不全、低カリウム血症の患者[本剤の投与によりQTが延長する可能性がある。] (2) 肝機能障害のある患者[本剤のクリアランスが低下し、血中濃度が上昇するおそれがある。
副作用:1~5%未満:AST(GOT)・ALT(GPT)・Al−P ・ −GTP ・ビリルビンの上昇等の肝機能検査値異常、頻度不明:肝炎
添付文書:レクサプロ錠10mg(PDF)
医者が飲まない「不眠症」のクスリ
一般名:エチゾラム
「不安や抑うつの改善だけでなく、筋肉を和らげる働きがあるため、肩こり治療のために整形外科などで出されることも。だが、作用が強すぎて薬に対する依存性も高いので、なるべく使いたくない」(林医師)
『週刊現代』2015年3月21日号
商品名:デパス、セデコパン(一般名:エチゾラム - Wikipedia)
重大な副作用:依存性(頻度不明):薬物依存を生じることがあるので,観察を十分に行い,慎重に投与すること. また, 投与量の急激な減少ないし投与の中止により, 痙攣発作,せん妄, 振戦, 不眠, 不安, 幻覚, 妄想等の離脱症状があらわれることがあるので, 投与を中止する場合 には, 徐々に減量するなど慎重に行うこと.
一般名:ゾルピデム
「服用すると、夜間に寝ぼけて行動することがある。実際に私が投与した患者で、夜中に病院を飛び出して自殺をはかった患者がいた。その症例を見たので自分が飲むのは絶対嫌だ」(精神科医・40代)
『週刊現代』2015年3月21日号
商品名:マイスリー(一般名:ゾルピデム - Wikipedia)
用法・用量に関連する使用上の注意:本剤に対する反応には個人差があり、また、もうろう状態、睡眠随伴症状(夢遊症状等)は用量依存的にあらわれるので、本剤を投与する場合には少量(1回5mg)から投与を開始すること。
添付文書:マイスリー錠5mg、10mg(PDF)
一般名:トリアゾラム
「処方が多い睡眠薬の一つ。非常に早く入眠効果が出る一方で、習慣性が強く、アルコールとの併用で意識が飛ぶなどの事例も複数あり、自分の醜態をさらすことになる可能性もあるので飲まない」(西原医師:【北海道・十勝】【帯広】社会医療法人 北斗 北斗病院【PET-CT】【がんドック】:北海道大学大学院医学研究科 病理学講座 探索病理学講座 特任教授・腫瘍医学研究所 病理診断科 客員部長 西原 広史)
『週刊現代』2015年3月21日号
商品名:ハルシオン(一般名:トリアゾラム - Wikipedia)
規制区分:向精神薬:習慣性医薬:注意―習慣性あり 併用注意:アルコール:できるだけ飲酒は避けさせること。
過量投与:他のベンゾジアゼピン系薬剤と同様に本剤の過量投与において死亡が報告されている。また、本剤を含むベンゾジアゼピン系薬剤とアルコールとを過量に併用した患者で死亡が報告されている。
一般名:ブロチゾラム、フルニトラゼパム
「普通の患者には効果があるが、高齢者に使うと、わけのわからないことを言ったり、暴れだしたりするせん妄を引き起こすケースが多く逆効果になる。認知症の患者にはとくによくない」(大和田医師)
『週刊現代』2015年3月21日号
商品名:レンドルミン(一般名:ブロチゾラム - Wikipedia)
高齢者への投与:少量から投与を開始するなど慎重に投与すること。[高齢者では運動失調等の副作用が発現しやすい。]
添付文書:レンドルミンD錠0.25mg
商品名:ロヒプノール、サイレース(一般名:フルニトラゼパム - Wikipedia)
意識障害:うとうと状態から昏睡等の意識障害があらわれることがあるので、注意すること。特に高齢者においてあらわれやすいので、慎重に投与すること
高齢者への投与:高齢者へ投与する場合には、慎重に投与すること(【用法・用量】の項参照)。[運動失調、意識障害等の中枢神経抑制症状があらわれやすい。]
添付文書:ロヒプノール錠1/ ロヒプノール錠2
添付文書:サイレース錠1mg/サイレース錠2mg