はじめに
昨日、はてブ経由で紹介した記事がたくさんRTされたり、ファボられたりしていました。Medエッジという医療と健康に関する情報をキュレーションしているポータルサイトに掲載されていたものです。
“自閉症の子供は、正常な発達の子どもと比べて、6カ月から18カ月の間では、便秘の危険度は2.7倍、食品アレルギーまたは食品を受け入れない事例の危険度は1.7倍...18カ月から36カ月では、下痢が2.3倍、便秘が1.6倍...” http://t.co/ObANVARhsy
— kukkanen (@kukkanenjp) 2015, 4月 7
記事の主旨
はじめに断っておきますが、私はADHDという障害特性ゆえに読解力に乏しく、他の人が書いた文章や完成度が低い解説書などを誤読してしまうことがしばしばあります。
なので、私の勘違いかもしれませんがこの記事の主旨を以下のように考えました。
自閉症の子供は、下痢や便秘、食物アレルギーをはじめ食べ物の問題を抱えている場合が多いようだ。発達障害でも問題になるが、さらに多いとも分かった
...(略)...
このうち子どもについて3つのグループを作って調べている。一つは自閉症の子ども195人、発達障害の子ども4636人、発達が正常の子ども4万295人。
本文中にある「自閉症」と「発達障害」は、調査の対象群としてグループに分けられていることから、2つの障害をネストする関係はないと判断しました。
つまり、「知的障害がない発達障害」という日本でよく使われる言葉が示すように、本文中の2つの障害名を以下のように解釈しました。
- 自閉症 = 知的障害がある狭義の自閉症
- 発達障害 = "知的障害がない自閉症スペクトラム"やADHDやLDなど、その他に分類される発達障害
原文の要約
記事の下部に文献情報としてアメリカ国立衛生研究所が公開している要約があったので、これを読んでみました。
OBJECTIVE: To compare maternal report of GI symptoms during the first 3 years of life in children with ASD, developmental delay (DD), and typical development (TD).
調査対象として分けられた3つのグループが、精神科の診断基準として用いられるDSM-5のどれに該当するのかを調べてみました。
原文 | DSM-5分類 | DSM-5障害名 |
---|---|---|
ASD | Communication Disorders(コミュニケーション症群) | Autism Spectrum Disorder(自閉スペクトラム症) |
developmental delay (DD) | Intellectual Disabilities(知的能力障害群) | Global Developmental Delay(全般的発達遅延) |
typical development (TD) | - | ※「定型発達」と呼ばれる健常者 |
参考:「DSM‒5 病名・用語翻訳ガイドライン」日本精神神経学会(PDF)
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つまり、Medエッジの記事で自閉症と書かれているのは自閉症スペクトラムのことではないでしょうか?
原文要約の冒頭にあるIMPORTANCE(重要)という項目にも、自閉症スペクトラムと消化器のトラブルの関連性を示唆しています。
Gastrointestinal (GI) comorbidities are frequently described in association with autism spectrum disorder (ASD).
結論
つまるところ、「自閉症スペクトラムに分類される子ども達は、知的障害がある子どもたちより胃腸が弱い」ということなのではないでしょうか?
なにぶん、不注意優勢型で勘違いや思い込みが激しいADHD当事者が読み解いた内容なので、間違いがあればご指摘ください。
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