ハーネスって何?
ハーネス(harness)はもともと、馬をつなぎとめるための装具のことであり、現代では犬の首輪代わりや、子供に用いるものを指します。
日本でも、下の商品のように「迷子防止リュックサック」といった名称で売られています。
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ハーネス論争とは
いくらデザインをかわいくしていても、紐でつなぎとめていることに変わりはなく、犬のそれが想起され、たびたび批判の対象となります。
ハーネスに関する論争は何度も繰り返されており、メディア露出が多い産婦人科医といった専門家も賛成派としてメリットを解説しています。
はてな村でも少し前に、ADHD傾向があるお嬢様の幼少時を思い返しながら、ハーネスへの理解を求める趣旨の記事が話題となっていました。
ハーネスの発達行動学的解釈
以前、読んだ本にハーネスに関する言及があったので、これを紹介します。
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これまでは母子の結合的側面を述べてきた。それが母子関係の重要な側面であることは論をまたないが、母・子が子・母から離れることもまたそれと同等に考察に値する問題である。というよりも、子育ての究極の目標が、親が未熟な子を守ってその生育を援助し、子に自力で生きていくことができるようにな能力を身につけさせてやることであり、母子双方の自律化であると考えるならば、分離にも対等に光を当てることには大きな意味がある。
上記は『発達行動学の視座―“個”の自立発達の人間科学的探究』(Amazon)の第3章の冒頭にある文章です。
ちなみに、第2章では赤ちゃんの月齢と「顔のかわいらしさの印象」の度合いをグラフで示し、事故などが多い期間に親の注意をひきつけておくといった生存戦略が紹介されています。
そして、ハーネスについては以下のように説いています。
手をつなぐことによる拘束を考えれば、子の行動の自由度を残しながら保護するという合理的な道具だと考えることができる。
つまり、離れることは、相手によって拘束されないことである。接触したいときにその実現が妨げられない限りにおいて、分離には個としての自由度を保証するというメリットを認めることができる。
ここまでは、ネットで盛り上がっていたハーネス論争でも語り尽くされていることですが、次の段落に注目してください。
母子が離れる契機をたくさんもつということは、それぞれが個としての存在を実感する契機に恵まれるということである。それは母親が自分を取り戻すチャンスをたくさんもつということでもある。人間の分離的な母子関係はそういう特徴をもっており、その実現を周囲のさまざまな要因が支えているのである。
ともすると、「犬みたいで子供がかわいそう」とか「子供から目を離すのは親の怠慢」などといった子供側に論点が当てられがちなハーネスですが、その生育を支援する親がどうあるべきかを再考することも大切だと感じました。
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